Q1.フレックスを志望した理由は?
大学時代は映画の撮影監督を目指していましたが、撮影助手になっても若いうちは給料が極めて安く生活するのも大変だという話を聞いて将来どうするか迷っていた時、大学の元NHKの教授がテレビの道を薦めてくれ、TVニュースに興味を持つようになりました。小学校からずっと写真を撮ることが好きで、高校生の時には戦場カメラになりたいと思っていたこともあり、「報道」「ジャーナリスト」という志向はもとより強かったと思います。そうしたことから「報道カメラマン」を志すようになり、就職先を探していたところ、都内で採用募集している技術系の制作会社を数社見つけました。すべてエントリーしましたが、なぜ、フレックスを選んだかというと「テレビ朝日の報道カメラマンのほとんどがフレックスの社員である」ことでした。それはテレビ局から信頼されている証拠であり、カメラマンになるための道筋がきちんと立てられているからに違いないと思いました。また、フレックスにはカメラという職種だけでなく編集やアーカイブという別の職種もあったので、途中でカメラマン以外のことをやりたくなっても、この会社なら長くやっていけるかもしれないと考え、フレックスを選びました。
Q2.職場はどんな雰囲気?
勤務する部署や番組によって職場の雰囲気は異なります。例えば、私が20年以上、勤めた報道番組「スーパーJチャンネル」の場合、生放送のため限られた時間内に取材や編集を終わらせVTRを完成させなければなりません。放送に遅れないように作業を進めるため緊張を強いられる毎日でした。それでも、続けられたのは「大切な情報をいち早く伝えたい」という報道精神があったからです。また、番組の仲間とは同じ目的に向かって突き進む「戦友」のような絆があり、放送後には、よく反省会を兼ねて気の合う者で飲みに行きましたし、プライベートでもBBQをすることもありました。
一方、現在、私が配属されているのは、あわただしい報道番組とは、まったく違う雰囲気のセクションです。ここでは、官公庁や民間企業などをクライアントとするPRを中心とした動画を作成しています。さらには、イベントの企画や運営もします。多岐にわたる仕事を長いスパンで進めるためスタッフルームの雰囲気は報道番組などと違い穏やかで時間が少しゆっくりと進んでいます。同じ映像の仕事でも案件によって作業ペースが全然違います。そういった意味で企画制作部はいろんな価値感や働き方の人たちが集える部なのかもしれません。
Q3.仕事をしていて一番嬉しかったことは?
報道番組で「適切な取材」をし、「分かりやすい原稿」を書き、「映像の強さを十分に生かした魅力的な編集」で放送したVTRが高い視聴率を獲得したとことを放送の翌日の朝、知った時は達成感でいっぱいになります。特に大変な作業を経た時は本当に報われた気持ちで満たされます。報道に携わる人は「エッセンシャルワーカー」だと私は個人的に思っています。津波警報が出たら緊急放送に対応するためにすぐには帰れません。「少しでも被害を減らすために迫る危険を当該地域の人たちにいち早く伝えたい」この一心でみんなが昼夜問わず取材し編集し放送します。自分が関わった災害報道でどれくらいの人が救われたかは分かりませんが、後日、視聴者の方から「長時間の放送おつかれさまでした」「被災地の親戚が画面に映っていて生存確認ができました」などのご意見をいただくと、頑張って良かったと心底思います。
Q4.仕事をしていて一番大変だったことは?
誤った情報を放送し、取材相手や関係者を傷つけた時です。一度、放送で流れた情報はネット上のデジタルタトゥーと同じように消せません。いくら訂正放送をしても、傷ついた方が簡単に癒されることはありません。この時「放送する者の責任」の重さを痛感しました。それは「過酷な取材」よりも「長時間の編集」よりも苦しいことでした。取り返しがつかないことをやってしまった苦しさです。しかしこれは、マスコミとして情報を発信する側の人間には常に付きまとう「責任」です。あってはならない失敗ですが、この経験によって私は大きく成長できたとも思っています。
Q5.仕事で大事にしていることは?
どんなに興味のない仕事でも、好奇心を失わず、いろんな手段を使って楽しもうとすることです。なぜなら、嫌がりながらやって上手くいったためしがないからです。報道でも広告でもなんでもそうですが、扱う仕事は自分の興味があるテーマばかりではありません。しかも、映像の仕事の多くは、自分一人ではなく、たくさんの人と進めるものばかりです。どんな案件でもモチベ―ションを維持しないとプロとしての対応ができません。むしろ、興味のないテーマの時こそ、ウイングを広げて、テンション高く向き合わないとクオリティが維持できません。場合によっては「ミス」につながることもあります。人間は感情の生き物だと個人的に思っています。いくら上手に隠しても「内面」が結果に出てしまうのではないでしょうか。その一方で、無理やり気持ちを「アゲ」ようとしても、上手く行かないことも多々あります。人の感情は正直です。急には気持ちの切り替えなんてできません。だから、私は普段から「何にでも興味を持つ」ことを癖付けるようにしています。通勤の道すがら店がオープンしていたら、興味のない業種でも覗いてみます。店員さんと話してみます。すると、発見があったりします。「へえ~そうなんだ!」とアンテナを伸ばした結果の成功体験を作るのです。興味がなくても出会ってみると面白いことが待っているかもしれないという期待感を常に醸成させておくのです。
Q6.仕事で「やりがい」を感じるのはどんな時?
私の場合「やりがい」を感じるのは、自分のやりたいことができた時や自分のアイデアが形になった時などではありません。そうではなく、「クライアントや視聴者に本当に喜ばれた」時です。20代の頃は仕事で自分ができることが増えていくことに喜びを感じ、仕事を任せて貰えることに成長を感じ、そして自分の方法やアイデアを試してみて成功したときに「やりがい」を感じました。しかし、30代になり後輩が増えてくると、後輩を育てることに喜びを感じるようになりました。後輩ができることが増えると喜びを感じ、後輩に仕事を任せることができると、自分の育てる力に成長を感じ、後輩が自分の力で成功をつかみ取るのを見るたびに「人を育てること」に「やりがい」を感じました。しかし40代になると、情報を伝える先、つまり視聴者や情報の発信元、つまりクライアントが満足のいく映像を制作できているかが重要に感じられるようになってきました。アイデアや方法も重要ですが、もっとも大切なのはクライアントが発信したいメッセージをターゲットに誤りなく届けられるかです。どんなに意義のある情報でも伝わらなければ意味がありません。報道でもドキュメンタリーでも広告でも同じです。マスコミで働く以上、「クライアントとターゲットへの貢献が最大のミッション」にならないと本当の達成感は得られないだろうと考えています。
Q7.フレックスの良いところは?
入社後にキャリアデザインが大きく変わっても対応できるほどたくさんの部署があるという点です。例えば、入社時はカメラ志望だったが実際にやってみて向いていなかったとしても、編集やアーカイブ、または記者やディレクター、WEB関連などに異動することも可能です。また、フレックスのHPをご覧いただけると分かると思いますが、東京だけでなく地方勤務もあります。つまり職種だけでなく勤務地も様々あるということです。もちろん、希望がすべて叶うわけではありませんが、選択肢の多さは大きなポイントです。さらに、職種の多さは、スキルアップにも役立つことがあります。例えば私は「撮影」→「編集」→「制作」と異動してきました。「制作」だけしかやって来なかった人との違いは、撮影や編集といった技術サイドの段取りやマインドを知っているという点です。映像はたくさんの職種の人たちが協力して制作します。そのため、それぞれの職種のマインドを理解しているとコミュケーションがスムーズで無駄な摩擦も避けられます。すると、より良いアイデアを出し会える機会が増え作品のクオリティーも向上します。
Q8.求職者へのメッセージ
私は報道カメラマン志望でしたが、いまは「技術系」と無縁の「制作系」で、天職のように楽しく仕事をしています。就活中のみなさんが、今なりたいと思っている職種が必ず自分に向いているとは限りません。実際にやってみると、想像とは違っていることって良くありますよね。ましてや仕事となると、楽しいことばかりでは決してありません。ですので、職種を絞り込み過ぎず、「〇〇業界で仕事したいなぁ」くらいの気持ちで就職先を検討されても良いかもしれませんね。